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過払い金|資本金増強を偽装した融資詐欺に対する銀行の責任

過払い金|資本金増強を偽装した融資詐欺に対する銀行の責任

3600
交通費
6690

主文

原判決を左のとおり変更する。
一控訴人は、被控訴人に対し、金一億七五九二万九、八二九円五〇銭およびこれに対する昭和三二年一二月三一日より完済にいたるまで年六分の割合による金員を支払え。
二被控訴人のその余の請求を棄却する。
三訴訟費用は第一、二審を通じて五分し、その三を控訴人の、その二を被控訴人の負担とする。
四右第一項につき、被控訴人において金六〇〇〇万円の担保を提供するときは仮に執行することができる。

事実

第一申立

控訴代理人は、原判決を取り消す。
被控訴人の請求を棄却する。
訴訟費用は第一、二審を通じて被控訴人の負担とする、との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

第二事実

(請求原因)
一訴外日本商工振興株式会社(以下訴外会社という。)は、昭和二九年七月八日、破産宣告を受け、被控訴人はその破産管財人に選任された。
二1訴外会社は、原判決添付別表登記日欄及び発行額欄のとおり、七一回にわたつて、新株の発行をし、控訴人銀行a町支店は、訴外会社に対し、向裏証明日欄及び証明額欄のとおり、各新株の払込金を保管している旨の証明書を発行した。
2ところで、訴外会社はいわゆる株主相互金融会社であつて自己発行の株式を大衆に売り出し、右売却によつて得た資金を用い株主となつた者に対し、その選択にしたがい融資をするか、融資の必要のない者には年二割前後の利息を支払うという形で株主相互間の金融を図ることを目的とする会社である。
この種会社は、右の事業目的達成のために、自己の自由に処分することのできる株式を大量に保有することが必要となる。
そこで、くりかえして新株の発行をすることとなるが、その際、名目上、会社役員その他の者を新株の引受人とし、新株払込の資金は、会社が自己資金を支出して右形式上の引受人に融資し、これらの者が払込む形をとることになる。
訴外会社においても、昭和二七年八月三〇日より同二八年九月四日の間に、九五回、各回一〇〇〇万円、二〇万株合計九億五〇〇〇万円一九〇〇万株の新株を発行した。
その払込手続は次のとおりである。
訴外会社は、新株の払込取扱銀行である控訴銀行a町支店(以下単にa町支店と略称する)に自己の預金を有し、この預金より、増資額に見合う額を、株式払込金の口座に振替入金する。
同支店は、右振替入金により払込金の支払があつたとして、株金保管証明書を発行し、会社に交付する。
そして、新株発行の効力が生ずると、増資された株式の払込金相当額を右会社の銀行預金に転換する。
会社の帳簿上の処理としては、右のように会社が支払う払込金を、名目上の株式引受人に対する会社からの貸付金とし、払込完了後は、これを新株の引受けにより株主となつた者に対する貸付金(乙種貸付金)と名義を変え、割賦によつて右新株主より回収する。
3右払込みの形態により明らかなように、右増資新株の払込みは、会社資金による払込である。
正式の増資新株の払込は、資本充実の原則上、所定の払込場所に、払込期日までに、新株引受人により、現金またはこれと同視しうる小切手によつて現実になされなければならない。
しかるに、右のように、本件払込手続は、会社の預金を払込金に充てるものであり、それは、会社の資金を帳簿上の振替操作によつて払込みを仮装するもので、その間に、現実の資本の増加は全くないから、右払込みは無効であり、また、右払込金を会社に払戻したこともあくまで帳簿上そうなつているにすぎない。
三そして、a町支店は、右払込形態、したがつて、それが仮装の払込みであることを知悉したうえ、右払込事務を取扱い、保管証明書を発行したものである。
それは、単に知悉していたにとどまらず、既述のような増資の回数、頻度によると通謀していたといえる。
もし、仮装の払込みであることを知らなかつたとすれば、同支店に重大な過失か少くとも過失がある。
四商法二八〇条ノ一四、一八九条二項によると、銀行は前記保管証明をしたときは、たとえ、真実は払込みがなくても払込みのないことをもつて会社に対抗することができないから、右証明した金額については、会社に対して、返還債務を負い前述のように、銀行が仮装払込みであることを知悉しているか、少くとも、知らないことに重大な過失があつた以上その責任を免れない。
よつて、右証明金額のうち、五億七六二万八八一〇円とこれに対する催告の日の翌日から完済にいたるまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
(予備的請求原因)
訴外会社の新株発行中、原判決添付別表4、7、36、40、43、45、50、ないし、55、57、59、ないし61、66、ないし71の計二二回、および、登記日昭和二八年八月三一日、発行額一〇〇〇万円、証明日同月二九日、証明額一〇〇〇万円の一回については、新株発行による変更登記日前に払込金を会社に支払つている。
かかる増資の変更登記以前の右支払いは訴外会社に対抗できないから、右証明金額合計二億三〇〇〇万円と前同様の遅延損害金の支払いを求める。
(請求原因に対する認否)
一請求原因一および二の1の事実は認める。
二同二の2の事実は、そのうち、「本件払込みのすべてが預金の振替によつてなされたこと」を除き認める。
振替手続によつたのは、第六四回の増資分だけであり、その余は、現金持参払い、あるいは預金払戻しによる現金払込み、あるいは現入現払いの手続によつた。
三同二、の3、の事実を争う。
先ず、本件払込みが、会社資金によるものであることは否認する。
すなわち、本件払込みが会社の預金より支払われたことは認めるが、右預金は、会社が増資新株引受人の募集を各地でなし、応募者より払込金を預り預金していたものや、応募者より会社宛に送付された金銭を預入れたものが大部分であつて、会社資金とはいえない。
次に、本件払込みが仮装であり、会社の資本は実質上増加しない、との主張は否認する。これを詳述する。
(1)本件払込みに際しては、仮設名義人を株式引受人としたこともあるが、多くは、実在の引受人によるものである。
たとえば株式引受人の募集に対し、甲が応募した場合、会社は、甲を株式引受人とし、甲に対し、払込金相当額を貸付けた上、会社預金より払込み、払込完了後は、右貸付金を、あらためて、会社の甲に対する別種の貸付金とした扱いもあるが、この場合、甲は、現実の株式引受人である。
会社が払込に際し株式引受人とした者は仮設の名義人でないことが大部分であつた。
(2)被控訴人は、本件増資新株については、すべて、訴外会社が、形式上の株式引受人名義で株式の払込みをし実質的に自己株式を取得し、株主となる者は全員これら既発行の株式を譲受けて取得したものであるかのごとき主張をするが、会社では、新株発行に際し新株引受人と株式譲受人の双方を募集していたのであり、応募者にも両者があつた。
ただ、増資手続の簡略化、画一化のために会社内部の事務手続としては、株式引受人と譲受人を区別することなく、前述のように会社預金から払込む手続を、形式上とつたのである。
被控訴人の主張は、形式のみをみているにすぎない。
(3)仮に、株主となる者に、株式引受人はなく、すべて、株式譲受けにより株主となる者であつたとしても、本件払込みにより、会社の資本は実質的に増加している。
すなわち、会社の株式引受人募集に応じた株式取得者には、株式代金を一時払により支払う者と、日賦、月賦払により支払う者があつたが、その支払金はすべて会社に入金されていた。
その額は、本件増資額七億三〇〇〇万円に対し、昭和二八年一月から同年八月までの間に七億四四二六万円、同二九年三月までの間に一一億五〇五八万円に達し、本件増資については、全額資本は充実している。
四請求原因三、は争う。
1a町支店は、本件払込みが、被控訴人主張のように訴外会社の預金よりその主張のごとく払込金口座に振替払込むという手続によつてなされたことを知つていたことは認めるが、右預金が会社の資金であることや、右払込みが仮装であることについては知らなかつた。
すなわち、訴外会社は、各地で株式引受人および株式取得者を募集し、応募者に、株式申込証と払込金の提供を求め、右払込金を会社預金に入れ、それがまとまるごとに新株を発行していたものであり、払込みに際しては、株式引受人名簿をそえて払込んでいたので、前記支店では、会社名義の預金については、これを株式引受人らの払込金を会社が預つているものであり、右預金より支払うのは会社が同人らに代り一括払込むものと信じ、右払込みが仮装のものであることはこれを知らなかつたのである。
2仮にしからずとしても、銀行が保管証明責任を負う要件としての悪意とは、実質的な払込みの仮装性すなわち実質的に資本の充実を害していることの認識をいうと解すべきである。
a町支店は、会社の預金より払込まれていたことを知つてはいたが、前述のように会社預金は、株式引受人らより会社に払込まれたものであるから会社預金による払込みにより資本の充実はあると信じていたものである。
3仮に右払込みが仮装のものであつたとしても、a町支店としては、株式引受人名簿をそえて前述のような払込みがあり且つ払込みにいたるまでの手続が前述のとおりであつたのであり銀行は、いわゆる形式的審査をすれば足り、更にその内容に立入つて右払込みが実質的に株式引受人の資金であるかどうかまで調査すべき注意義務はないのであるから、払込みの仮装であつたことにつき重大な過失も、過失もない。
4遅延損害金に商事法定利率の適用されることは争う。
(予備的請求原因事実に対する認否)
予備的請求原因事実中右各新株の発行は認めるが、その余は争う。
(控訴人の主張)
一商法一八九条二項は、銀行は払込金について保管証明をしたときには、払込みのなかつたことをもつて会社に対抗することができないことだけを定めているのである。
本件においては払込みもあり、これに対して払戻しもなされているのであるから、同条の責任の発生する余地はない。
二一の主張が認められないとしても、a町支店では本件払込みを有効のものと信じて保管証明をしたのであるから、もし被控訴人主張のように、本件払込みが無効であるとすれば要素の錯誤により右証明行為は無効である。
三仮に右主張が認められないとしても、本件払込みが違法だとすれば、それは訴外会社自らがなしたものであり、同社自身責任を負うべきであつて、控訴人の責任を問うのは筋違いである。
そして、本件においては、破産管財人は会社を代表する位置に立つのであるから、その請求は失当である。
四仮に右主張が認められないとしても、本件破産申立人の債権は、自己所有の訴外会社の株式を同社に譲渡する譲渡代金債権であるが、右のごとき譲渡は、結局、会社が自己株式を取得することにほかならず、無効であるから、右債権も無効である。
仮に譲渡でなく会社が譲受人を斡旋する趣旨であつたとしても、譲受人が現れるまでは譲受代金を支払う義務がなく右斡旋前には会社が立替えることとなり、立替えの間会社は自己株式を取得するに外ならない。
したがつて、いずれにしても、右債権による本件破産宣告は無効であり、右破産手続に基づく本訴請求も失当である。
五仮に右主張が認められないとしても、商法一八九条二項の保管証明責任は禁反言の法理による責任である。
ところで、会社自身は、前述のように自ら右払込手続をなしたものであるし、本件会社債権者は、もと株主であり、その債権は、株式を会社に譲渡した譲渡代金債権あるいは解約による出捐金の返戻を求める債権であるから、会社債権者も、本件払込手続に関与していたものである。
ところで右会社では株式取得者はいつでも、解約して出捐金を会社より回収しうることになつていたのであり、株主となつた者は、このことを知り、むしろ、回収しうる期待のもとに株主となつていたのであるし、また、日賦、月賦払いにより、株式を取得する仕組になつていたため、資本の欠缺があるというのであれば、株主となつた者はこれを承知したのであり、いずれにしても、会社の資本の欠缺について承知しながら株主となつていたものといえるのである。
したがつて本件破産債権者らは、禁反言の法理に基づく右責任によつて保護されるべき者ではない。
六仮に右主張が認められないとしても、商法一八九条二項による銀行の証明責任は、資本の実質的な欠缺に対する補充的な担保責任であるから、右欠缺がなんらかの形で補完されたときにはその責任を免れるべきである。
そして、本件増資は、前後七〇余、増資額七億余円、株式数約二〇〇〇万株に及び、その一々について右補完額を明らかにすることはできないのであるが、かかる場合、合理的な計算方法による算出が許されるべきであり、次の(1)、(2)の方法による算出が合理的である。
(1)会社は、その実質のいかんにかかわらず、形式上は、会社が新株引受人に、株式払込金、株式譲受人に譲受金を融資し、これを償還させる形をとつていた。
そして、これら償還による入金は、会社の乙種貸付金帳簿(甲一七号証、乙一〇号証)の貸方欄に記載されている。
したがつて、ある期間の増資額と右償還額を対比すると資本の充実額および欠缺額が大数的に判明する。
これを昭和二八年一月から八月までの本件増資が行われた期間についてみると、増資額七億三〇〇〇万円に対し、株主からの入金額は計七億四四二六万五三五八円である。
多少増資と入金に時間的ずれがあるとしても、昭和二七年四月から二九年三月までをとつても、その増資額一〇億九〇〇〇万円に対し、入金が一五億円を超えている。
したがつて、おそくもその時までに資本の欠缺分は充実されている。
(2)仮りに右主張が認められないとしても、訴外会社では、新株引受申込人から一時払いのときは全額、日、月賦払のときは第一回分の支払いを受けた際、申込人に株式申込証と株式譲受申込書を徴するとともに株主名を株券台帳一行目に記入し、申込人が右賦払金の支払いを完了したとき、同人に株券の交付をするのであるが、交付の際、株券台帳二行目に株主名を記入し、株券と割印する(但し株主名のみのものもある)。
したがつて、株券台帳二行目に株主名か割印のあるものは、すべて引受払込金(形の上では株式譲受代金)が支払われ、払込みについての欠缺がないといえる。
そして、会社の株券台帳(乙第一四号証の一ないし四五の各イ、ロ)には、株主名か割印があるので、本件増資のうち、第一回から第四五回までの計四億五〇〇〇万円に関しては全額資本が充実している。
その詳細は、別紙一覧表「1」のとおりである。
更に、第四六回から第七三回までの増資分についても充実している。
すなわち、会社は、形式上、株式引受人に融資して増資払込金を支払い、引受人より日、月賦により償還を受けていたが、右融資金が、会社では乙種貸付金とされていた。
したがつて、乙種貸付金の残が右賦払金の未償還分であり、資本の欠缺分になるが、右第四六回以後の増資分にかんする乙種貸付金の残は、別紙一覧表「2」のとおり八七一四万四一五〇円だけとなつており、その余は資本が充実している。
(3)よつて、第一次的に全額免責され、第二次的に右八、七一四万四一五〇円を除くその余の金額につき免責されている。
(控訴人の右認否および主張に対する被控訴人の認否および主張)
一控訴人は、請求原因に対する認否において、本件払込みが会社資金によりなされたことを否認する旨述べたが、払込みが会社資金によるものであることは原審において先に自白したのである。
したがつて、右陳述は自白の撤回であるので異議を述べる。
二同請求原因に対する認否三について。
訴外会社は、株主相互金融会社の本質から必然的に会社資金により先ず増資をし、株式を発行しいわゆるこの空株を株主希望者に売却することを繰返していたことは既述のとおりであるから、増資により新株の払込みは必然的に仮装とならざるをえないのであり、実質的にこれをみても、昭和二八年三月末日においては、会社資本金は八、二〇〇万円、貸付金(空株の払込分)は五一万円、乙種貸付金(売却した株式の未収代金)は二億九〇〇〇余万円、同年八月末日資本金は一二億円貸付金は一億九九二万円、乙種貸付金は四億余円、昭和二九年三月末日には右貸付金は一億九七〇〇余万円、乙種貸付金は二億七六〇〇余万円となつて、右貸付金および乙種貸付金はいずれも払込みのない株式の額に相当するから、その額だけ資本は欠缺しているのである。
三控訴人の主張について。
1同一について。
控訴人の主張を争う。
払込みの形式がありながら、実質上これに伴う資本の充実がないときに右資本の欠缺につき責任を負うことも保管証明責任に含まれることはいうまでもない。
2同二、について。控訴人の主張を争う。
3同三、について。控訴人の主張を争う。
4同四、について。
控訴人の主張を争う。
訴外会社において、株主は自己所有の株式を第三者に譲渡することを会社に申出たときは、会社は譲受人を斡旋し、譲渡代金を立替支払うことになつており、また、株式譲受代金を割賦によつて支払つている株主は、いつでも中途解約し、解約返戻金の支払を受けうるのであり、本件破産債権は、右のごとき株式譲渡代金立替支払請求権および解約返戻金請求権であり適法な債権である。
5同五、について。
控訴人の主張を争う。
商法一八九条二項の銀行の保管証明責任は単なる禁反言の法理による責任ではない。
それは、会社に関係するあらゆる一般公衆の利益保護のために、株式払込を受けうる唯一の機関である銀行に、払込保管証明額につき責任を負わせることによつて会社の資本の充実を確保しようとしたものであつて禁反言の責任以上の強大な責任である。
したがつて控訴人の主張はその前提においてすでに失当である。
のみならず、もし控訴人において本件仮装払込みに対し何んらかの措置を構じていれば、本件破産債権者らは訴外会社の株式を取得して損害を蒙ることはなかつたのであり、控訴人が本件払込みを是認し、増資がなされていたため右株式を取得し損害を蒙むるにいたつたことによつても控訴人の右責任の重要性は明らかである。
6同六、の資本の欠缺の補填とこれに伴う保管証明責任の減免の主張について。
控訴人の主張を争う。
(一)保管証明責任は、会社の資本の充実を実現するため銀行に独立して課された責任であつて、単に、払込金のないこと、あるいは、不足の欠缺にかんして、銀行が補充的に補填する担保責任ではなく、他の者の責任の補充的なものであるとする点において、控訴人の主張はすでに失当である。
(二)また、銀行に右のような保管証明責任を課したのは、これを通じて、資本の欠缺ある会社の設立、あるいは増資という外形の出現、それから引き起る会社と関係する一般第三者の損害を予防するためであるから、会社設立、あるいは、増資後、資本が充実されたとしても、保管証明責任には影響がない。
(三)また、払込みについては、一定の場所、期限においてなすことが法律上強制されており、資本の欠缺は払込期日においてすでに確定しており、保管証明責任も確定しているのである。
その後資本が補填されるとか、保管証明責任が減免されるという議論は、いたずらに、経済的実体に目を奪われ、払込手続にかんする厳格な法的手続を無視し、更に、右手続の志向する払込手続の厳格化による会社資本の充実を無意味ならしめるものである。
(四)さらに、本件会社は、株主相互金融特有の制度として、株式を取得した株主は、中途で解約し既払代金の返戻を受けうることになつており、また、株主は会社を通じていつでも株式を他へ譲渡し、会社より譲渡代金の立替支払いを受けられるのであるから、払込時以後資本が減少することはあつても、資本が充実することはありえないのである。
控訴人は、払込時以後払込金が補填されたような主張をするが、入金する金は、その株式の譲受代金とか、その後の増資の株式の譲渡代金等であつて当該増資新株について払込金が支払われることはないのである。
さらに、実際においても、訴外会社の昭和二九年三月三一日の財産目録によると、貸付金一億九七一四万二一〇〇円、乙種貸付金二億七六四〇万一〇八六円であり、後者は、株主が株式を取得するに際し、会社が株主(株式引受人)に貸付け未収のままのものであり、また、昭和三一年四月三〇日の同社の破産財産目銀によると、会社の立替金支払返還金債権は六億一六三九万四、六〇五円であり、これら三種の金員を合計すると、会社の資本金一二億円に対し、右計一〇億八九九三万七七九一円は、資本を欠いていたことになるのであり、控訴人主張のように資本の欠缺が補填されたことはないのである。
第三証拠(省略)

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理由

一いわゆる株主相互金融会社は、株主となつた者に融資をするか、もしくは融資を受ける希望のない者には、高率の利息を支払う形で、株主相互間の金融を図ることを目的とする会社であり、この種会社が、昭和二〇年代後半の一時期各地に存在していたことは、顕著な事実である。
訴外会社が、かかる株主相互金融会社であつたことは当事者間に争いがない。
二訴外会社が原判決添付の別表登記日欄、発行額欄のとおり、七一回にわたつて、七億一〇〇〇万円の増資をし、新株を発行し、控訴人銀行a町支店(以下単にa町支店という)が、会社(訴外会社をいう。
以下同じ。)に対し、同表証明日欄及び証明額欄のとおり、右新株の払込金を保管している旨の証明書を発行し、証明額相当金員を会社に払戻したことは当事者間に争いがない。
<要旨第一>三右のように、控訴人が会社の増資新株払込金として受入れた金員について、払戻しがなされているときで</要旨第一>も、その払込手続において、実質的に会社の資本が充実しないでいわゆる仮装払込みとなる場合に、銀行がこれを知りながら保管証明をしたときには、銀行は保管証明責任を免れないと解せられる。
そして、払込みが、増資会社自身の資金によつてなされたときは、形式的な払込手続(払込み、払戻し)の履行があるにもかかわらず、会社資本は増資によつてなんら実質的に増加しないのであるから、預合や見せ金の場合と同様、会社資金による払込みもかかる仮装払込みに外ならない。
その詳細は、原判決理由二、1の関係部分のとおりであるから引用する。
その点につき、本件においてはすでに払込みに応じた払戻しがなされているから保管証明責任が消滅したとする控訴人の主張は失当である。
四被控訴人は、本件払込みは、会社資金によるものであつて仮装払込みであると主張し、控訴人はこれを争うので判断する。
(もつとも、被控訴人は、控訴人は先に右払込みが会社資金によるものであることを自白したので、控訴人のその点の否認は自白の撤回となり、異議があると述べ、原判決書においても、控訴人が右自白した旨の事実摘示があるが、弁論の全趣旨および一審記録によると、控訴人が認めたのは、本件払込みが会社預金から支払われていることだけであつて会社資金による払込みであることは、争つているものと認められる。
更に、当審において、控訴人は、払込みの一部が現金持参払いでなされたと主張し、右は、会社預金からの支払いを認めた自白と矛盾するが、その主張事実を認めるに足りる証拠はなく、右自白の撤回は許されない。)1成立に争いない甲第一ないし一五号証(各枝番を含む。
但し第四号証の二の枝番の各証を除く。)第一七、二四、二七号証、乙第一ないし五号証(各枝番を含む。)、第一〇ないし一八号証(同)、当審証人A、B(一、二回)の証言により真正に成立したと認められる甲第二一ないし二三号証(各枝番を含む。)、原審ならびに当審証人B(いずれも一、二回)、A(原審一、二回)、C、D、E、原審証人F、当審証人G(一、二回)、H、I、J、Kの各証言の一部及び前掲争いない事実によると、次の事実が認められる。
(一)会社の増資や、新株発行、あるいは株主募集の特異性。
会社は、株主相互間の金融を目的としていたが、その株主となる方法としては、新株引受けのほか、会社の斡旋による既発行株式の譲受けという方法がとられていた。
このことは、新株引受け、旧株譲受けを問わず、株式取得申込人は、割賦によつて株式を取得することができるとともに、反面、株式取得の中途解約が認められ、すでに株式を取得した者(株主)も、株式の譲渡斡旋を会社に申込むことができ、また、新株発行の際、仮設名義人による株式の引受けということもあり、このため、常時譲渡の斡旋をすべき旧株あるいは新株が会社にあつたことと対応している。
会社は、主として、関東各地で株主となる者を募集したが、その際、本来、新株引受けと株式譲受けとは、全く別個なことであるのに、応募者(株式取得申込人)には、「株式申込書」と「株式譲受申込書」の二種の申込書を提出させていた。
そして、会社も、右応募状況、前記中途解約や譲渡斡旋の申込み状況に応じて、増資を繰り返した。
このことは、増資と新株引受けは相伴うべきであるのに会社においては、増資といつても新株引受けの伴わないものが当初より予定されていたことにもなる。
更に、前に触れたように、新株引受け、株式譲受けを問わず、株式取得対価の支払いには、一時払いのほか、割賦払い(日、月賦)が認められていた(これは新株引受けについては違法である)が、その取得対価の支払資金は、会社が、一旦これを株式取得申込人(右応募者を以下こう呼ぶ)に貸付ける形をとり(一時払についても)、申込人より債務償還証書を作成提出させていた。
その結果、新株払込金、株式譲受対価は、会社が先ず払込み又は支払い、株式取得申込人がこれを償還する形となつていた。
そして、株式取得申込人の株式取得の経緯をみるに、一時払いによる場合は、応募者(株式取得申込人)は、会社に、仮領収書と引換えに、株式取得対価を支払つて申込み、割賦払いの場合は、一定額(たとえば日賦については三日分)を添えて申込み、仮領収証を受け取り、数日後会社より償還通帳の交付を受ける。
そして、いずれの場合も、対価を完済したとき株券が交付される。
株主募集につきこのような特異な方法がとられたのは、募集の際に、会社としては、株式取得申込人に新株を引受けさせるか、旧株を取得させるかは不明であつたからであり、一律に株式取得の対価を会社が先ず支払い、株式取得申込人から償還する形をとつたのは、募集の便と新株払込手続の簡易、迅速さに利便があつたからと窺われる。
また、一回の増資額が一〇〇〇万円とされたのは、同額まで当時証券取引法上の手続が簡易であつたことに、主として、よる。
なお、附言すると、会社における、株主となる方法、増資の前記手続、株式取得の中途解約の制度、会社の株式譲渡の斡旋等々いずれも特異な仕組みであり、一方、株主となる者もかかる特異な仕組みによることに格別関心を払わず、会社より高率の利息の支払いを受けることを期待して、株主となつた者であり、形式は、株主となり株式取得代金(新株払込みあるいは株式譲受代金)として金員を支出するのであるが、その実質は、会社に対する消費寄託に近く、会社も、増資による株主の募集等という法形式をとつているもののその実質は、右のような金員を蒐集していたものであり、会社が増資払込金、株式取得金を立替え割賦払い等により支払いを受けていたのも貸金業に関する各種の法規制を回避するためであり、会社の株主相互金融という営業の実体は貸金業であることがうかがわれる。
(二)払込手続
会社はa町支店に増資のための「有価証券通知受理通知書」(関東財務局長作成)と株式引受人名簿を提出する。
株式引受人名簿に記載される者の名は、前記株式取得申込人の名であることが多いが、会社の役員等名目上の者の名であることもあつた。
そして、会社は、会社が同支店に有していた会社名義の預金から新株払込金相当額を払込金口座に振込み、これによつて払込みは完了となり、同支店は払込金保管証明書を作成し、同社に発行する。
そして、増資の変更登記の後、ときにはそれ以前に、払込金は、払込金口座から会社の預金に移され、会社に払戻される。
(三)会社の経理上における払込金の取扱い。
会社においては、右のように、払込金を会社預金から一括払込み、株式取得申込人、名目上の株式引受人に対する貸付金勘定を起すが、払込み手続がすみ、増資が完了したときは、あらためてこれを株式取得申込人に対する乙種貸付金、名目上の株式引受人に対する貸付金とし、乙種貸付金については、株式取得申込人より、一時もしくは割賦により返済を受け、右貸付金については、株式を売渡すことにより回収を図つていた。
(四)(一)ないし(三)のような処理をした理由。
以上のように、本件増資に際し、会社が一括して払込みをなし、株式取得申込人に対してはその払込金を融資し、償還を受ける形をとつたが、これは、増資手続の関係では、その画一、簡易、迅速化のためであつたと認められる。
前掲各証言、原審証人Lの証言中右認定に抵触する部分は採用しがたく、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
控訴人は、右払込みは、預金払戻しによる現金払込みである、あるいは、現入現払いによる払込みであると主張するが、会社預金からの払込みであることに変りはなく、右認定を左右するに足りない。
2右1の事実によると、本件払込みは形式上、会社が、真の、又は、仮設の株式引受人の名でなすが、払込金は、正式に右株式引受人より徴収することなく、会社がこれを引受人に貸与し、会社が一括してその預金より払込むという手続をとるのであるから、右のような形式からみると、会社資金による払込みであると解せられる。
被控訴人は、右のような場合、直に仮装払込みになると主張し、原判決の肯認するところである。
しかし、仮装払込みであるか否かは、もつぱら払込みにより経済的、実質的にこれに伴い会社資本の充実があるか否かによつて決められるべきものであるから、たとえ、右のような意味で、形式上会社資金による払込みであつたとしても、それが単に形式上、手続上のものにすぎず、実質的に資本の充実をもたらしているときには、仮装の払込みとはいえないと解すべきである。
そこで、本件払込みが、実質的に会社資本を充実させたか否かについて更に検討する。
前記1に判示した事実ならびに証拠によると次のように認められる。
(一)会社のある回の増資において、株式取得申込人(前記応募者、新株引受人兼株式譲受申込人)以外の者を株式引受人(仮設名義人)として、その者の名において会社資金から払込まれた額は、前述のように、株式を後に売却して資金の回収を図るものであつて(会社経理上貸付金として処理されているもの)、増資の際に(払込期日までに)資本の充実をもたらさず、全額仮装払込みとみるを相当とする(以下便宜、仮設名義人名による払込みと略称する)。
(二)会社のある回の増資に際し、応募した株式取得申込人(新株申込人兼株式譲受申込人)のうち、前述の一時払いによる者は、形式上、会社より融資を受け、株式を取得したとしても(その取得の形が、新株の引受けの場合は、もとより、その形でなく、株式譲受けの形式をとることがあつたとしても)、一時払いしたその金員は、実質的には、増資新株の株式払込金とみるを相当とし、右支払い額については、増資に伴い現実に会社に金員が流入し会社の資本が増加しているから、会社が払込みにあてた資金中に、右一時払いの金員が含まれていれば、その分については、形式上では会社資金による払込みであつたとしても、実質上は、資本の充実をもたらしている。
なお、かかる株式取得申込人に、必ずしも当該増資新株による株券が交付されず、旧株券の交付されることのありえたことは窺われるが、それは、交付すべき株券を誤つているにとどまり、そのため、当該増資における資本の充実を妨げるものではない(最高裁判所大法廷昭和四三年一一月一三日判決、同第一小法廷昭和四四年七月三日判決参照。)
(三)割賦払いによる株式取得申込人についてみるに、割賦金中申込みと同時に支払う初回分については、一時払いによる支払金と同様、その支払い額について資本の充実をもたらしているが、払込時以後に支払う割賦分については、払込時において資本の充実をもたらさず、その分については払込時には資本は欠缺している(たとえ会社が償還請求権を有し、それが、債権として価値があつたとしてもこのことに変りはない)。
(四)したがつて、会社が払込みにあてた会社資金中に、右一時払金、これに準ずる割賦払いの初回分が入つていたか否か、いくら入つていたかにより、当該払込みにより資本の充実があつたか、どの範囲で資本が充実し、あるいは欠けていたかが決められるべきである。
そして、会社では、支社や外交員等を通じ、各地で株式取得申込人を募集し、この応募状況に応じ、かつ、中途解約申出、株式斡旋申出の状況を斟酌し、更にこれらの状況の予測に立つて、増資したのであるが、右応募に伴い募集された金員は、支社を通じ、あるいは直接会社に送金され、会社に流入する。
会社が払込資金にあてた会社資金の大部分はかかる株式取得申込人より会社に流入していた右のような金員からなつていた。
以上のような諸事実が認められる。
3そこで、本件各増資の払込みにつき払込みにあてられた会社資金中に、前記一時払金割賦払の初回金が、いくら入つていたかを究明することが、仮装払込みか否か、及びその範囲を明らかにすることになるのであるが、結論としては、本件全証拠によるも、本件各増資の払込資金中には、前述の一時払金と割賦払初回金も含まれていたことは知りうるが、その額、割合を確知することはできず、増資ごとの、仮装払込額、資本の欠缺額は、かなり多かつたということまでは認められるものの、その正確な額は確知できない。
この間の事情を多少、敷衍すると次のとおりである。
(一)前掲1に挙示した証拠によると、会社では、設立当初は、会社役員等仮設名義による株式引受けが多く、盛業となるにつれ、これが減少し、株式取得申込人名義による株式引受けが増えたことが認められるが、各増資ごとに、仮設名義人による株式引受けと、株式取得申込人名義による株式引受けとの数を明確に識別することはできない仮設名義人による会社の払込金は、前述のように会社帳簿上、貸付金となつてあらわれており、そのある時期における額を、大数的に窺知しうる資料はないではないが(たとえば、甲第二四号証決算報告書)、これによつてとうてい各増資ごとについての貸付金を知りうるものではない。
(二)本件各増資の払込資金について、前記一時払金、割賦払金の額を明らかにすることもできない。
これら金額は、会社経理上、乙種仮受金、乙種貸付金として計上されており、前掲甲第二四号証(決算報告書)、乙第一五号証の各証(乙種貸付金償還元帳)、甲第二六号証(乙種貸付金未償還残高集計表)、甲第一六号証(乙種貸付金補助帳簿)等によると、ある時期における乙種借受金の残高、乙種借受金の増減の情況、あるいは乙種借受金に計上される債権の回収状況等は知りえないではないが、これら資料から、本件各増資につき、その払込みにあてられた資金中、いくらが、当該増資の株式取得申込人により一時払い、割賦払い初回金として支払われたものであるかを明らかに知ることはできない。
1で掲げた証拠、本項中に挙げた証拠、既述の判示によると、会社の増資はきわめて特異なものであつて、前述の日、月賦の割賦払いによる株式の取得、中途解約、株式譲渡の斡旋等の制度があり、しかも頻繁に増資が繰り返されていたため、会社には、絶えず、乙種貸付金についてだけでみても、当該増資以前の割賦償還の金員も流入し、どの回の増資についての乙種貸付金が、いくら発生し、それについて、いつ、いくら、回収されたかは明らかにされておらず、かつ、どの回の増資の払込金資金については、どの金を使つたかも明確でない。
会社においては、本来厳格になすべき増資や株主募集の手続、その会計上の処理を、軽視ないし無視し、大まかにいうと、ただむやみに、資金蒐集のため、株主を集め株式を増加することに急であつて、流入してきた金員を明らかに区別することもなく、そのままこれを増資の払込みにあて、株式を作つていたものであるといつてよく、とうてい、払込金の内容についての明確な識別は無理である。
(三)控訴人は、昭和二八年一月から八月までの間に本件増資額以上の入金があつたから、資本の欠缺はないと主張し、逆に被控訴人は、昭和二八年八月末、乙種貸付金および貸付金残高は、約五億円あつたからその分だけは資本の欠缺があつたと主張するが、これらの統計的数額によつて、各増資につき、資本欠缺額を明らかにすることのできないことはいうまでもない。
(四)当審証人J、K、Bの証言の一部には、株式取得申込みは、一時払いによるものが多かつた旨述べる部分があるが、一時払いによる者と割賦払いによる者の割合を正確に示す供述でないのみならず、既述の会社の営業形態からみて、一時払いによる者が右証言のように多かつたとは考えられず、右証言は採用しがたい。
4以上1ないし3の事実および前掲証拠によると、本件増資の払込については、資本の充実をもたらしていないものがかなり多かつたが、そうでないものも混在していること、その額、割合いは明確にすることはできないこと、したがつて、かなりの範囲において仮装払込みであつたということが認められるにとどまる。
五控訴人銀行の悪意について。
本件払込みのように、形式的には払込みがあるが、実質的に資本の充実を伴わないいわゆる仮装払込みの認められる場合には、銀行が仮装払込みであることを認識しなから(いわゆる悪意)、右証明をしたときにのみ保管証明責任を負うのが原則と解すべきである。
ところで、保管証明は、各増資ごとに、一個の証明でなされるのを通常とする(本件でも同様である。
成立に争いない甲第三号証の一ないし七三。)が、その証明の対象となつた払込み中に、仮装のものと、真正のものが混在していてその特定、識別ができないときには、右払込みの中に、仮装払込みがかなり多く含まれていることの認識、いわば払込みの仮装性の認識があれば、右悪意かあつたと解すべきである。
そして、既述の、会社の株主相互金融としての営業形態、会社の増資や株主募集方法の特異性、木件各払込手続の仕組み等の諸事実によると、本件払込みには、必然的に前述のような資本の充実を欠くもの、すなわち仮装のものが多く生ずることはきわめて明らかであつて、右払込み手続を頻繁に取り扱つていた控訴人a町支店においても、右払込みに、資本の充実を欠くもののかなり多いことを認識していたものと認められる。
原審ならびに当審証人G、H、I、Jの各証言中右認定に抵触する部分は採用しがたい。
なお、本件払込み当時、本件会社のごとき株主相互金融の営業が、かなり多く行われ、これに対する特別な法規制や行政指導もなく、右営業が合法か否か、営業のいかなる点が、いかなる法律に抵触するか、ひいて前述のごとき会社の株主募集の方法や払込み手続の違法性等について、社会一般に明確な認識のなかつたことは、本件各証拠により知りうるが、このことによつて、控訴人のa町支店において、本件払込みに資本の充実をもたらさないものの多かつたことを認識していたとの右認定を左右することはできない。
六控訴人銀行の責任額について。
払込手続が形式的には履行されているが、資本の充実を欠く仮装払込みの場合、その仮装払込みであることは、原則として、仮装払込みであることを理由に、銀行に対し保管証明責任を追及する者において主張、立証すべきであると解されるしかし、本件払込みのように、一個の保管証明の対象となつた払込みの中に、仮装のものと真正のものが混在し、仮装のものがかなり多いが、これを明確に特定、識別できないときには、保管証明責任制度の趣旨、立証すべき事項の性質、立証の困難性に鑑み、保管証明責任を追及する者においては、当該払込みの中に右のような状態で仮装払込みが混入していたこと、いわば払込みの仮装性を証明すれば足り、銀行においてその責任を免れるためには、払込みにより資本が充実した範囲、額を立証することを要すると解すべきである。
すると、本件においては、前述のように、右範囲、額が、結局明らかにされなかつたので、控訴人は、次の七に掲げる各抗弁がすべて認められないとすれば保管証明責任額どおりの責任を負うもやむを得ないといわなければならない。
七控訴人の各抗弁について。
1本件払込金についてはすでに払戻したから、控訴人に保管証明責任の発生する余地がないとの主張(控訴人の主張一)については、既述のように、形式的に払込手続が終つても仮装払込みの場合、なお、銀行は保管証明責任を免れないので、採用しがたい。
2錯誤の主張(控訴人の主張二)について。
控訴人が、本件払込みの仮装性について悪意であつたことは既述のとおりである。
また、払込みの違法性の認識がなくとも、前述の仮装性の認識があれば足りることも既述(五)のところから明らかであるから、控訴人の保管証明書発行につき錯誤のあつたものとはなしがたく、錯誤の主張は採用しがたい。
3会社は控訴人の保管証明責任を追及できず、会社を代表する破産管財人からの請求は失当であるとの主張(控訴人の主張三、)について。
保管証明責任の制度は、単に会社保護のためのものではないから、仮装払込みが会社のなしたことであつてもそのため銀行が保管証明責任を免れるものでないことはいうまでもないし、破産管財人は、単に会社のためにのみ右保管証明責任を追及しているものではないので、右主張は失当である。
4本件破産申立人の債権(破産宣告後の破産債権)が無効であるから、破産宣告も無効であり、右破産手続に基づく本訴請求も失当であるとの主張(控訴人四の主張)について。
本件破産宣告決定が確定していることは明らかであり、控訴人主張のように、単に破産申立人の債権が無効であつたからといつて破産決定が無効となるものではない。
さらに、破産申立人の債権について按ずるに、前記四、1掲記の各証拠によると、会社と株式取得申込人間では、株式取得申込人は割賦による株式取得を中途解約し、解約返戻金を会社より支払われ、また、株主はいつでも株式譲渡斡旋の申し出をなすことができ、会社は将来あらわれる譲受人に立替えて譲渡代金を支払う約定であつたところ、昭和二八年晩秋頃から保全経済会等株主相互金融会社が引続いて倒産し、会社の営業に世間の疑惑が生ずるとともに、会社の株式取得申込人、株主は昭和二九年五月頃から一勢に、中途解約、株式譲渡の申出をなし、右中途解約にともなう解約返戻金、株式譲渡申出にともなう右立替金の支払いを会社に求めたが、会社よりその支払いを得られず、これら債権に基づき本件破産申立をしたものであることが認められる。
ところで、右のような約定は、事実上会社に自己株式を取得させることになる点において自己株式取得禁止の法規を脱法する約定であつて、適法性に疑いがあるが、自己株式取得そのものの約定ではないし、右約定から生じた債権を直ちに無効であるとはいえない。
のみならず、右債権の実質を考えると、四1、(一)の「なお」以下で考察したように、会社の実態は貸金業であり、株主、株式取得申込人らが右会社に、株式取得対価名義で支払つた金員の実質は消費寄託であり、株主らにおいて解約返戻金、株式譲渡代金立替金名義で会社に支払いを求めているのは、実質上その返還請求である。
そして、株主らも右のような形式をとる仕組みに加担しているのであるが、そのためその返還請求を許さないという程株主らの右加担に違法性が強いとはいえず、右請求は許されるので、結局、同人らの債権は有効であると考えられる。
5禁反言法理に基づく主張(控訴人五の主張)について。
銀行の保管証明責任は、実際は保管していないのに保管したとの表示をすることによつて、その表示に責任を負わせる法制度であるから、外観理論であり、また禁反言の法理によるところがあることは明らかである。
しかし、銀行に保管証明をさせ、これに基づいて会社の増資の変更登記がなされると、会社と取引関係に立つ不特定多数の者は、右会社が真実、増資に相当する資本の充実があるとして行為するのであり、これら不特定多数の者の取引の安全のため、銀行に保管証明責任を課しているのであるから、たまたま会社あるいは特定の債権者、株主において保管証明に応じた保管がないことを知り、その点で、控訴人のいうクリーンハンドでない者がいたからといつて、銀行がその責任を免れるものではない。
すなわち、あらゆる不特定多数の者が、保管証明責任があるにもかかわらず保管金のないことを知りうる状況があれば、格別(そのような状況は考えられない。)、それ以外は銀行はその責任を免れないと解せられる。
したがつて、保管証明責任は禁反言の法理(もつとも禁反言の法理も必ずしもその内容が確立しているわけではない)よりも強大な責任であり、これを単に禁反言の法理によるものとし、会社や本件破産債権者側にかえつてクリーンハンドでないものがあるから銀行に責任がないとする控訴人の主張は採用できない。
6資本の欠缺の補填により保管証明責任が免責されたとの主張(控訴人の主張六)について。
(一)仮装払込みの場合、実質上の資本の欠缺額につき、銀行は保管証明責任を負うのであるが、新株の払込みは、払込期日までに全額の払込みを要するのであるから(商法二八〇条ノ七)、資本の欠缺額、したがつて保管証明責任額は、払込期日を基準に一旦定まり、その時右責任も発生する。
<要旨第二>ところで、仮装払込みの場合、法形式的には払込み、払戻しが整つているにもかかわらず、なお銀行</要旨第二>に保管証明責任があると解するのは、右のような法形式にもかかわらず会社の資本は充実していないからにほかならない。
右のように保管証明責任の根拠が、会社資本の充実を図ることにある以上、一旦保管証明責任が発生した後においても、資本の充実があれば、これに応じてその責任が減免されると解すべきである。
そしてその際、会社資本の充実とは、もともと、経済的、実質的な事柄であるから、経済的、実質的に増資に伴う資本の充実があるか否かを考えるべきである。
被控訴人は、払込期日後には、もはや払込みはありえないから、払込期日後には資本の欠缺の補填はないかのごとき主張をするところ、払込期日を徒過すれば株式引受人が失権し払込みということがないことは右主張のとおりであるが、前述のように、資本の充実は、経済的、実質的な事柄であり、その法形式の如何を問う必要はない。
被控訴人は、更に、保管証明責任の独立性(非補充性)重要性、資本充実のための予防的機能とか、資本の欠缺の補填を認めることによる払込手続の法規制の無意味化等々を挙げて保管証明責任の減免の許されないことを緩々主張するところ、保管証明責任の重要性については既述したと祠りであるが、一方、保管証明責任は、あくまで資本充実のため保管の証明をした金額について銀行にその支払いの責任を負わせているだけであつて、資本の充実がある場合についてまで銀行に責任を負わせるわけはないのであり、右各主張は、右責任の重要性を強調するあまり、保管証明責任が、本来資本充実のため証明額について、銀行が支払うだけの責任であつて、それ以上のものではないことを見失つたものであり、とうてい採用できない。
(二)控訴人は、本件増資にかんし、右のごとき資本の欠缺の補填、それに伴う責任の減免があつたと主張するので検討する。
(1)既述のように、会社では、形式上会社が払込金を一括払込み、払込金相当額を株式取得申込人に対する貸金とし、割賦によりこれを償還していたのであるが、右償還金は、実質的に、増資に伴つて会社に流入する金員であるから、その形式、時期にかかわらず、増資に伴う資本の増加である。
この理は、割賦払いの初回金について述べたところと基本的に同一である(その際参照した最高裁判決参照)。
したがつて、償還されるに応じて、増資の際(払込期日)あつた資本の欠缺は逐次補填され、これに伴い保管証明責任額も減じていくことが認められる。
(2)控訴人は、右免責の主張として、本件増資期間中に乙種仮受金、乙種貸付金勘定に、増資額七億三〇〇〇万円を上廻る入金であつたし、更に増資期間前後を通じてみても、増資額をはるかに上廻る入金があつたので、資本の欠缺は補填されたと主張するが、右入金の合計がその主張どおりであつたとしても、各増資につき、いくらの補填があつたかはそれにより明らかであるとはいえず、各増資につきなされた各保管証明責任が、いくら減免されたかも明らかではないので右主張は採用しがたい。
(3)そこで控訴人の第二次的主張について検討する。
(イ)第一回から第四五回の増資について。
成立に争いない乙第一四号証の一ないし四五の各イロ前掲B、Dの証言並びに既述の四1、(一)、ないし(三)の事実によると、会社では、割賦払いによる株式取得申込人については、割賦払いを完済したときに株券を交付していたが、株券を交付するに当つては、会社の株券台帳に株主名を記入し、かつ、割印をするか、あるいは割印をしていたことしたがつて割印のあるものについては株式取得の対価が完済されていること、そして第一回から第四五回までの増資新株についてはすべて株券台帳に割印があり、株式取得対価すなわち株式払込金相当額が完済されていることが認められる。
なお、既述の、会社の営業形態、株主募集方法によると、増資新株を取得し、その対価を支払つた者は、当該増資の新株引受人だけとはいえず、後にこれを譲り受けた者等によつて支払われたこともありうることは容易に認められるが、当該新株の払込金相当額が右新株に関して支払われていれば、あえて何人によつて、いかなる法形式によつて支払われたかを詳らかにしなくとも、右新株について経済上の資本の充実はあるというべきである。
そうすると、第一回から第四五回までの増資については、資本の欠缺は補填されたというべく、その限度において右各回の保管証明責任は消滅したものである。
したがつて、本訴請求中右各回の増資に対応する請求分三億三一六九万八、九八〇円五〇銭の請求は失当である。
(ロ)その後の第四六回以後第七三回までの増資について。
控訴人は、乙種貸付金償還元帳(乙第一五号証の一ないし二〇〇)から、右増資期間内になされた貸付金を抽出し、その貸付金の未償還残高を集計し(別紙一覧表「2」)、右未償還残高集計額八、七一四万四一五〇円が右増資にかんする資本の欠缺額でその余の資本の欠缺は補填されたと主張する。
しかし、会社の株主募集方法は、既述のように特異なものであつて、当該増資に限定して、その株式取得者(株式引受人、譲受人)を募つていたものではなく、当該増資新株の取得者と、従前の増資による旧株と、更には将来増資される新株を取得せしめる者をも、区別することなくほとんど常時継続的に募集していたものであり、しかも、これらの者の取得対価につき会社が立替支払い、乙種貸付金としていたものであるから、ある増資とたまたま時期を同じくして発生した乙種貸付金といつても、必ずしも右増資に関する貸付金とはいえないのである。
それ故ある乙種貸付金が、いつの増資にかんするものであるかを更に明確にすべき確証がない本件においてはたまたま時期的に合致することをもつて、控訴人主張のように、第四六回から第七三回の増資にかんする乙種貸付金とは断定しがたく、これを前提とする控訴人の右主張は採用しがたい。
更に、当審証人C、Aの証言、右証言により真正に成立したものと認められる甲第二六号証(乙種貸付金未償還残高表)等に照らすと、乙第一五号の各証の乙種貸付金元帳は、必ずしも会社の乙種貸付金のすべてについてもれなく、正確に記帳されたものでないことが認められるのであり、この点からも、右各証に基づく控訴人の主張は採用できない
八予備的請求について。
会社設立の際の株式払込金の払戻しについては、銀行が、会社成立前に発起人又は取締役に払戻しをしても会社に対抗できないが(最高裁判所昭和三七年一二月二日判決参照)、増資新株の払込金については、増資変更登記のなされる以前に、銀行が会社に払戻したとしても、それによりすでに存在している会社の資本の充実如何には影響ないのであつて、会社に対抗できないとする理由はない。
九結論
以上のとおりであつて、本訴請求五億七六二万八八一〇円中前述の三億三一六九万八九八〇円五〇銭を控除した一億七五九二万九八二九円五〇銭およびこれに対する請求後の昭和三二年一二月三一日より完済にいたるまで商法所定の年六分(控訴人は年六分を争うが、保管証明責任は商事債務である。
最高裁判所昭和三九年五月二六日判決参照。)の遅延損害金について被控訴人の請求を認容し、その余を棄却すべきであるから、原判決をこれに応じて変更し、訴訟費用につき民訴法九六条八九条九二条を適用し、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

債務整理の基礎

債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つの方法があります。
どの方法で債務整理をするべきかは、各個人の借金の状況により変わります。
弁護士に相談をする前に、下記ページで学習をしましょう。
http://hensai-soudan.jp/contents_1.php